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Pull Me Under Lyrics 歌詞

Dream Theaterの実質的なデビュー作「Images & Words」(1992年発表)の1曲目,「Pull Me Under」の歌詞を訳してみました.

何を今更って感じですが,つい最近ふと聴きたくなって,DTの素晴らしさを再確認したのがきっかけです.

ちなみにこの曲,シェイクスピアの「ハムレット」がモチーフになっています(参考:Pull Me Under and Hamlet).歌詞のなかに「ハムレット」中の台詞と対応した部分がかなりあります.ハムレットの解釈・訳は「A Cup of Coffee」様によるものと,岩波文庫の「ハムレット」(野島秀勝 訳)を参考にさせていただきました.

シチュエーションとしては,ハムレットの死の間際でしょうか.復讐を遂げ,自らも毒刃に倒れるハムレット.あとは地獄へと引きずり込まれるのを待つだけ(Pull Me Under)."Oh that this too, too solid flesh would melt" と歌われるアウトロは途中で急に途切たようになりますが,それはすなわちハムレットが「事切れた」瞬間を表現しているのではないでしょうか.


Pull Me Under 歌詞と訳


Lyrics: Kevin Moore

Lost in the sky

空で自らを見失ってしまった

Clouds roll by and I roll with them(*1)

雲は流れ行き,俺も雲とともに流れゆく

Arrows fly

矢は飛び交い

Seas increase and then fall again(*2)

苦難は増し,再び降りかかってくる


This world is spinning around me

世界は俺の周りを渦巻いている

This world is spinning without me

この世界は俺を蚊帳の外において廻っているのだ

Every day send future to past

日々は未来を過去へと送り流し

Every breath leaves me one less to my last

息を吐くたび,俺の命の猶予は刻一刻と削られてゆく


Watch the sparrow falling
Gives new meaning to it all

見よ,雀の落下でさえ全く新しい意味をもつようになるのだ

If not today nor yet tomorrow
then some other day(*3)

今日でもなく,明日でもないなら,やがていつか来るのだろう


I'll take seven lives for one (*4)

俺は1つの命のために7つの命を奪うだろう 

And then my only father's son

然して俺は,俺のただ一人の父の息子なのだ.

As sure as I did ever love him (*5)

ああ,俺はまったく確かに父を愛していた.

I am not afraid

俺は恐れてなどいない.


This world is spinning around me

世界は俺の周りを渦巻いている

The whole world keeps spinning around me

三千世界は俺の周りを巡り続けている

All life is future to past

すべての生は過去へと続く未来

Every breath leaves me one less to my last

息を吐くたび,俺の命の猶予は刻一刻と削られてゆく


Pull me under Pull me under

俺を引き摺り堕としてくれ

Pull me under I'm not afraid

俺を引き摺り堕としてくれ,俺は恐れてなどいない

All that I feel is honor and spite

俺が感じるのは,名誉と呪われた因果だけ

All I can do is set it right(*6)

俺に出来るのは,外れてしまったこの世の箍(たが)を正すことだけ


Dust fills my eyes

塵が我が眼を覆い

Clouds roll by and I roll with them

雲は流れ行き,俺も雲とともに流れゆく

Centuries cry, Orders fly (*7)

時代は慟哭し,命令が飛び交い

and I fall again

そして再び俺は堕ちる


This world is spinning inside me

この世界は俺のなかで渦巻いている

The whole world is spinning inside of me

三千世界は俺のなかで渦巻いているのだ

Every day sends future to past

日々は未来を過去へと送り流し

Every step brings me closer to my last

すべての事態は俺は最後の刻へと近づけてゆく


Pull me under Pull me under

俺を引き摺り堕としてくれ

Pull me under I'm not afraid

俺を引き摺り堕としてくれ,俺は恐れてなどいない

Living my life too much in the sun

陽の下で長く生きすぎたのだ

Only until your will is done(*8)

ただ神の御心が行われるまでの間だけ

Oh that this too, too solid flesh would melt.(*9)

ああ、この固い肉体が溶けて...


(*1)Act1, scene2
CLAUDIUS
How is it that the clouds still hang on you?
クローディアス
どうして、お前の額にいつまでも雲が陰っているのか。

(*2)Act3, scene 1
Hamlet
To be, or not to be: that is the question:
Whether 'tis nobler in the mind to suffer
The slings and arrows of outrageous fortune,
Or to take arms against a sea of troubles,

And by opposing end them? To die: to sleep;
No more; and by a sleep to say we end
The heart-ache and the thousand natural shocks
That flesh is heir to, 'tis a consummation
Devoutly to be wish'd. To die, to sleep;
ハムレット
生きるか死ぬか、それが問題だ。
どちらが高貴な心といえるだろうか、
荒れ狂う運命の投石や弓矢にじっと耐えているか、
それとも圧倒する困難に向かって武器を取り、
異議をとなえて、一切を終わりにするか。死ぬとは、眠ること、
それだけだ。そして一度眠れば、
心の痛みもこの身体がうける数限りない衝撃も
一切が終わりになる。これが敬虔なる者が渇望する
最後の極致だ。死ぬことは、眠ること。

(*3)Act5, Scene2
HAMLET
Not a whit, we defy augury: there's a special providence in the fall of a sparrow. If it be now, 'tis not to come; if it be not to come, it will be now; if it be not now, yet it will come: the readiness is all: since no man has aught of what he leaves, what is't to leave betimes? Let be.
ハムレット
心配しなくていい。おれは占いは信じないが、雀一羽落ちるにも天の配慮がある。それが今なら、あとでは来ないだろう。あとで来ないなら、それは今だろう。それが今でなければ、やがて来るだろう。いかなるときにも覚悟はしておかねばならぬ。誰もが、去るときはすべて残して行くのだから、早く世を去ったからといって、何のさわりがあろう。もう言うな。

(*4)ハムレットは劇中で7人の死となんらかの関わりがある.ボローニアス,オフィーリア,ローゼンクランツ&ギルデンスターン,ガートルード,レアティーズ,クローディアスの7人である.

(*5)

(*6)Act1, Scene5
So, gentlemen,
With all my love I do commend me to you:
And what so poor a man as Hamlet is
May do, to express his love and friending to you,
God willing, shall not lack. Let us go in together;
And still your fingers on your lips, I pray.
The time is out of joint: O cursed spite,
That ever I was born to set it right!

Nay, come, let's go together.
それでは、紳士たちよ、
愛をこめてお願いする。
ハムレットほどに哀れな男でも、
愛と友情を君たちに送ることは出来るし、
神も手を伸べてくれよう。一緒に行こう。
そしてどうか黙っていてくれ。              
この世のたがが外れている。ああ、無念至極だ、
それを正すために生まれてきたとは。
さあ、行こう、一緒に行こう。

(*7)Act5, scene2
HORATIO
Not from his mouth,
Had it the ability of life to thank you:
He never gave commandment for their death.
But since, so jump upon this bloody question,
You from the Polack wars, and you from England,
Are here arrived give order that these bodies
High on a stage be placed to the view;
And let me speak to the yet unknowing world
How these things came about: so shall you hear
Of carnal, bloody, and unnatural acts,
Of accidental judgments, casual slaughters,
Of deaths put on by cunning and forced cause,
And, in this upshot, purposes mistook
Fall'n on the inventors' heads: all this can I
Truly deliver.
ホレイシオ
いや、その人の口からは聞けないであろう、
たとえその人が生きていて感謝の言葉を言えたとしても。
その人は決して彼らの死を命じたわけではない。
しかしこの血みどろの決闘の余韻がいまだ消えぬ時、
あなたはポーランドの戦から、そしてあなたはイングランドから
到着したばかりでしょうが、どうか早くこの遺体を
壇上高く運ぶよう命じて欲しい。
わたしは、その前に立ち、事情を知らぬ世間の人々に
どのようにしてこのことが起きたのか、語りたい。
そうすれば、あなたがたは知るだろう。肉欲にまみれた、血なまぐさい、異常な行動を、
不慮の天罰を、思わぬ殺人を、
窮余の一策で巧妙に仕組まれた死を、
そして、すべての結果として、手はずの狂った陰謀が
仕掛けた者たちにふりかかる様を。これらすべてを
わたしは真実をもって語ろう。

(*8) Thy will be done 御心が行われますように,といった表現があるので,your will = 神の御心 と解釈しました.ハムレットの父の意思(つまり復讐)ともとれるかも知れません.

(*9)Act1, scene2
Hamlet
O, that this too too solid flesh would melt,
Thaw and resolve itself into a dew!
Or that the Everlasting had not fix'd
His canon 'gainst self-slaughter! O God! God!
How weary, stale, flat and unprofitable,
Seem to me all the uses of this world!
Fie on't! ah fie! 'tis an unweeded garden,
That grows to seed; things rank and gross in nature
Possess it merely. That it should come to this!
ハムレット
ああ、この固い肉体が溶けて
分解して露となればいい。
ああ、永遠なる者が自殺を大罪とする
掟を定めなかったらよかったのだ。ああ神よ、神よ、
この世の一切の営みは
なんと、疲れはて、単調で、退屈で、空しいのだろう。
ええい、何とでもなれ、この世は雑草がはびこった庭だ、
伸びほうだいで実のなるにまかせ、下品で粗野なものが
すっかり覆い尽くしている。事、ここに至るとは。




テーマ : 楽曲紹介 - ジャンル : 音楽

コメント

これは曲解の仕様も無いほどの徹底した解説だ!

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