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テニスの物理学 ~スピンがボール軌道に与える影響~

前回から,空気中でのボール軌道について考えています.
今回のテーマは「揚力」(lift force)ないし「マグナス力」(Magnus force)です.なお,この記事で用いられているノーテーション(数式中の文字が意味するもの)に関しては,前回の記事を参照して頂ければと思います.


force_in_the _air

図は前回の使いまわしですが,これはトップスピンのかかった,斜め下に向かって進むボールを表しています.赤矢印が今回のテーマです.

トップスピンはボールを沈みこませる働きがある,というのはよく知られています.それに加えて,例えば図のように斜め下方向に向かうボールに対しては,水平方向の速度を減速させる方向の成分をもつようになるのに注意してください.
水平方向の減速と,垂直方向への加速が同時に起こるからこそ,ナダルのエッグボールのような軌道が可能となるのです.

さて,この力はどんなものかというと,前回と同様に次元解析(参考:マグヌス力(wiki))から,



と表せます.添え字が変わっただけです(笑) ただし,働く方向は違います.
C lは例によって実験結果とあわせるためのパラメータであり,揚力係数(lift coefficient)と呼ばれます.テニスボールの場合はA. Stepanek氏による研究から,



だそうです.スピンがないとき(vspin=0)は分母が発散してC l=0となり,揚力は働きません.

どのぐらいの大きさなのか,具体的に数字で考えて見ましょう.
たしかナダルのトップスピンの平均回転数が3200 r.p.m.ぐらいとどこかで見た覚えがあるので,これを使ってみましょう(笑)ちなみに,r.p.m.はrevolution per minute の略で,1分間に何回転するかを表しています.3200 r.p.m.は毎秒53回転ぐらい,角速度に直すと335 rad/s ぐらいです.テニスボールの半径はおよそ0.033mなので,vspin= 11 m/s ぐらいになります.
プロ選手のストロークがどのくらいのスピード(初速)なのか分からないのですが,適当に100km/h (~ 28m/s )ぐらいと仮定することにします.このとき,



となります.ちなみに前回の記事を参照して抗力係数(drag coefficient)を計算するとC d=0.70 ぐらいになるので,ナダルばりのトップスピンがかかっている状況でさえ,抗力(空気抵抗)による影響のほうが大きいことがわかります.


今回はこのあたりにして,次回は重力,抗力,揚力の影響を考慮した運動方程式を考えることにしましょう.

参考

テーマ : テニス - ジャンル : スポーツ

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