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テニスの物理学 ~ボール軌道のシミュレーション~

前3回にわたって,空気中でのボールの運動方程式を導いてきました.

今回は,その結果を用いて実際にシミュレーションを行った結果を紹介したいと思います.

サーブの軌道


とりあえずサーブのシミュレーションをしてみました.

身長175 cm の人がその1.5倍の高さでボールを打った(=2.625 m)と仮定しました.センターから相手コートのセンターめがけて打っています.
フラットサーブは初速150 km/h,スピンはなし,地面と平行な直線に対して-4.6度の角度で打ち出しています.
スピンサーブは初速80km/h,2000rpm,出射角は10度です.
serve_trajectory
上図において,緑線がフラットサーブの軌道,赤線がスピンサーブの軌道を表しています.縦に入った黒線はそれぞれ左から,ネット,サービスライン,ベースラインを示しています(高さはネットの高さ3 feetに揃っています).

各速度成分の時間変化も分かり,例えばフラットサーブの場合は次のようになります↓
serve_velocity
赤線がx軸方向の速度,青線がy軸方向の速度,黒線がトータルの速度です.0.5s付近で不連続に変化しているのが,コートでのバウンドを示しています.

相手コートのベースラインに到達するまでにかかる時間(traveling time)はフラットサーブは0.84秒,スピンサーブは1.6秒です.このときのボールスピードはフラットサーブで約59km/h,スピンサーブは約34km/hにまで落ちています.

ただし,サーブのように上から叩きつけるような軌道に関しては,バウンドを計算する際の仮定(ボールは最終的に転がり状態に移行する)が成り立たない可能性があるため,バウンド後の値に関しては正確でない可能性があります.

ちなみに,計算上は175cmの人でも300km/hのフラットサーブを入れることは可能です.ただし,背が高い人に比べて,許容できる角度誤差が小さいため,入れられる確率は非常に低くなります.

ストロークの軌道


続いてストロークの場合のシミュレーションです.
初速は全て100km/hで,高さ1mのボールをベースライン上から打ち出しています.トップスピン,スライスの回転量はともに3000rpmとしました.落下地点が22mあたりに揃うように,
フラットは出射角8.3度,トップスピンは15.7度,スライスは4.2度としました.

各ショットの軌道はこんな感じ↓です.
stroke_trajectory

さらに,各ショットのx軸方向への速度成分の時間発展を見てみると,こんな感じ↓になります.
stroke_vx
出射角の違いによってvxの初速にばらつきがでています.バウンドした際のvxの減衰は,バウンドの式からスライスで最も大きく,トップスピンで最も小さくなります.バウンドする前,スライスがフラットより遅いのは,揚力によって,x軸負方向への力を受けることと関係しています.

相手コートベースラインに到達するのにかかる時間と,そのときのボールスピードは
フラット 1.14 [s], 41.5 [km/h]
トップスピン 1.24 [s], 47.6 [km/h]
スライス 1.35 [s], 22.2 [km/h]
でした.

まとめ


ここ5回ほどを使って,ボール軌道のシミュレーションについて考えてきました.
あとは,気が向いたらですが,計算式とそのノーテーションのまとめや,プログラムの公開などを考えています.


参考

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テニスの物理学 ~ボールの軌道を求める運動方程式~

テニスの物理学,「空気中でのボールの軌道について考えよう」第3回です.

前々回前回とそれぞれ空気中で運動するテニスボールに働く力について考えました.今回は,これらをまとめて運動方程式を導きたいと思います.


force_equation


上図のような状況を考えます.右側をx軸の正,上側をy軸の正方向とします.ボールの質量を m として,重力は mgF d前々回のテーマである「抗力」(drag force),F l前回のテーマである「揚力」(lift force)を表しています.

図のようにθを



とすると,x軸,y軸に対する運動方程式はそれぞれ





となります.さらに



であることと,





と表されることを考えて,運動方程式は





となります.ちなみに,抗力係数 C dと,揚力係数 C lはそれぞれ





です.これまで「トップスピン」の場合を考えてきましたが,「バックスピン」の場合は式(7)(8)において,C lの前の符号を反転させてください.

あとは適当な初期条件(初速,出射角,スピン)を与えて,コンピュータ君に連立微分方程式方程式(7)(8)を解いてもらえば,各時刻での v xv y が求められます.求めた v xv y をそれぞれ積分することでx , y の時間発展が分かり,それらを x-y プロットすれば,ボールの軌道が描けます.

コート上でのボールのバウンドも考慮に入れる場合は,前々々回の記事「テニスの物理学 ~コートでのバウンド~」を参考に,ボールの座標 y が地面からボールの半径分の高さに達した瞬間のv xv yを用いて







からバウンド後の v xv y,ωを求め,これらを初期条件として再び微分方程式(7)(8)を解くことによって,バウンド後の軌道が描けます.なお,式(11)(13)は「トップスピン」の場合を想定しており,バックスピンの場合はそれぞれの式のω1の符号を反転させてください.

tennis_bound1.png

次回はシミュレーションの結果を適当に掲載したいと考えています.

参考

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テニスの物理学 ~スピンがボール軌道に与える影響~

前回から,空気中でのボール軌道について考えています.
今回のテーマは「揚力」(lift force)ないし「マグナス力」(Magnus force)です.なお,この記事で用いられているノーテーション(数式中の文字が意味するもの)に関しては,前回の記事を参照して頂ければと思います.


force_in_the _air

図は前回の使いまわしですが,これはトップスピンのかかった,斜め下に向かって進むボールを表しています.赤矢印が今回のテーマです.

トップスピンはボールを沈みこませる働きがある,というのはよく知られています.それに加えて,例えば図のように斜め下方向に向かうボールに対しては,水平方向の速度を減速させる方向の成分をもつようになるのに注意してください.
水平方向の減速と,垂直方向への加速が同時に起こるからこそ,ナダルのエッグボールのような軌道が可能となるのです.

さて,この力はどんなものかというと,前回と同様に次元解析(参考:マグヌス力(wiki))から,



と表せます.添え字が変わっただけです(笑) ただし,働く方向は違います.
C lは例によって実験結果とあわせるためのパラメータであり,揚力係数(lift coefficient)と呼ばれます.テニスボールの場合はA. Stepanek氏による研究から,



だそうです.スピンがないとき(vspin=0)は分母が発散してC l=0となり,揚力は働きません.

どのぐらいの大きさなのか,具体的に数字で考えて見ましょう.
たしかナダルのトップスピンの平均回転数が3200 r.p.m.ぐらいとどこかで見た覚えがあるので,これを使ってみましょう(笑)ちなみに,r.p.m.はrevolution per minute の略で,1分間に何回転するかを表しています.3200 r.p.m.は毎秒53回転ぐらい,角速度に直すと335 rad/s ぐらいです.テニスボールの半径はおよそ0.033mなので,vspin= 11 m/s ぐらいになります.
プロ選手のストロークがどのくらいのスピード(初速)なのか分からないのですが,適当に100km/h (~ 28m/s )ぐらいと仮定することにします.このとき,



となります.ちなみに前回の記事を参照して抗力係数(drag coefficient)を計算するとC d=0.70 ぐらいになるので,ナダルばりのトップスピンがかかっている状況でさえ,抗力(空気抵抗)による影響のほうが大きいことがわかります.


今回はこのあたりにして,次回は重力,抗力,揚力の影響を考慮した運動方程式を考えることにしましょう.

参考

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